言葉を尽くす
言葉を尽くす、ということが苦手です。文を書くこと自体は好きなのですが、言葉をもってして自分の思いを余すところなく伝えようとする姿勢をとることが僕には出来ないように思います。
好きなこと、嫌いなこと、何かを誰かと同じ気持ちで共有したいと思うとき、人は言葉を尽くすと思うのですが、どうしてもそれができません。
自分の気持ちを伝える言葉を僕は持っていないように思います。言葉をどこか世界を記号化して伝えるための装置として見ているのかもしれません。書く、という行為の最中に強くそう思います。
自分が思ったことを何とかしてわかりやすいフォーマットに当てはめて、言葉にできなかった自分だけの気持ちを切り捨てているような気がします。”それっぽさ”を優先してしまっている気がするのです。
どこかで最初からコミュニケーションを諦めているんだろうなと思います。
どれだけ言葉を尽くしたところで自分の気持ちが完璧に伝わることなどないときっと僕は思っています。
生の言葉を吐く人がいます。そういった人は文章からもその人を感じることができます。何としてでも相手に伝えようという気概があるのでしょう。その態度こそが紡いだ言葉よりも重要なのだろうなと思います。
この文章で伝えたかったことは何なのでしょうか。僕にも分かりませんが、何かを伝えたいと思っていることは確かなのです。