Internet Cowboy

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好き①:森見登美彦作品

 初めて読んだ森見登美彦先生の小説は太陽の塔だった。引っ越す前に住んでいた家には家を出て行った叔父の本棚が置いてあって、そこには色んなジャンルの本が乱れ置いてあった。

 

 当時中学生ぐらいだったと思うけれど、その中から太陽の塔を選び取った理由はよく覚えていない。なんで読んだんだろう。

しかも太陽の塔の内容自体、当時の自分にはハマって無かったことを覚えている。

 

 中坊が大学生の悶々とした日常を理解する事が出来るわけがないし、これがSF大賞を受賞していた理由もわからなかった。

けれど自分は何故か森見登美彦先生の四畳半神話体系に手を伸ばしたのだ。この理由もよく覚えていない。本屋さんで知っている小説家の名前を見ておっ、と思ったのかも知れない。

けれどそうして読んだ四畳半神話体系はとても面白かった。森見先生にドハマりした。

 

 明石さんに恋をしたし、京都という狭い世界の中で繰り広げられる壮大で可笑しな出来事に心を奪われた。京都にも強い憧れを抱いたと思う。夜は短し等を含めた四畳半マルチバースは僕にとっての青春の場だったのだ。それを昨日四畳半タイムマシンブルースを見て思い出した。

 

 何故今まで忘れてしまっていたのだろう。

そういう事がよくある。

 

 小学生の頃に夢中になったものは?中学生の頃に好きだった事は?思い出そうとしてみても何も浮かばない。

 自分が好きと思う事は、気に入っているものは両手に収まるだけしか抱えておけないのかもしれない。

 

 とりあえずで置いてしまった好きは置き去りにしてしまったままずいぶん歩いてきてしまった。

日々に追われる隙間にそういった忘れ物を取りに行けたら、と思う。