果実怖い
果実が怖い。ここでいう果実はいわゆるフルーツなどの果物に限らず、植物が花を咲かせたあとに作られる実のことを指す。
皆さんは植物を育てたことがあるだろうか。
これから話をするにあたっては特に食用の実を結実する植物を育てたことがあるのがのぞましい。
まぁ皆たいていどっかしらで育ててはいると思う。小学校の授業とか、家庭菜園をする人だっているだろう。
かくいう僕も例外ではない。小学生のころにピーマンだのプチトマトだのを育てたことがある。
当時は毎日水をやり、雑草を抜いて大事に育てていた。花が咲いたあとに小さな実ができ始めているのを見つけたときはひどく感動したことであろう。あんま覚えてないからわからんけど。
だがもう今となっては昔のことである。
日々を生きていく中で僕は、当たり前のように食卓に並ぶ野菜や果物を、当たり前のように食べてきた。
そうしていく内にその実たちが生まれて大きくなる過程も忘れ、食べてきた実の水分量に比例して植物が育つ感動も希釈されていった。
そして話は冒頭に戻る。
果実が怖いのだ。
今日志村動物園がやっていた。その中で馬やらなんやらを保護したりしてる家族のコーナーがあり、その家族は家庭菜園をしていた。
編集で植物が育つ過程を順に見せられたとき、僕はあの頃の感動を少し思い出すと同時にある違和感を覚えたのだ。
その違和感こそが植物の結実そのものである。
何あれ?
異質。あまりにも異質。芽や茎、葉などはまぁわかる。ああ、そういう系統で君はいくのね、と僕もわかってあげられる。だがなぜ急に、本当に急に果実だけあんななのだ。
頼りなくほっそい茎、風が吹けば飛んでしまいそうなペラペラな葉。
中身がみちみちに詰まったでっかい実
中身がみちみちに詰まったでっかい実
え?なんで?もっとバランス配分考えたほうがいいんじゃないの…?
実だけ形も色もすべてがあまりにも母体と違い過ぎる。茎や葉の頼りない生命力をすべて注ぎ込んで作った結果濃縮された違和感。
これが僕の心をかき乱し、暗い影を落とす。
特にオチはないが、この違和感だけは文字に起こしておきたかった。
果実怖い。